ラムセス2世が残した奇跡の神殿「アブ・シンベル」の構造を徹底解説!

世界遺産

エジプト南部にそびえる岩窟神殿「アブ・シンベル」。これは新王国時代のファラオ、ラムセス2世が建設した壮大な神殿で、現在も世界中の観光客を魅了しています。この記事では、その構造や仕掛けについて、わかりやすくご紹介します。

大神殿:神となったラムセス2世を祀る

アブ・シンベルには2つの神殿があります。1つはラムセス2世自身を神格化して祀る大神殿です。

  • 正面ファサード:高さ約33m。高さ20mのラムセス2世坐像が4体並びます。そのうち1体は地震で崩壊し、足元に倒れたまま。
  • 第1ホール:高さ10mの巨大な柱が8本。柱にはオシリス神の姿をしたラムセス2世が刻まれています。壁にはカデシュの戦いの勇敢な様子も。
  • 第2ホール〜前室:神々への供物儀式の様子がレリーフとして描かれています。
  • 至聖所:最奥部には4体の神像(ラー=ホルアクティ、ラムセス2世、アメン=ラー、プタハ)が並びます。

太陽の奇跡:神々を照らす年2回の光

この神殿の最大の見どころのひとつは、「太陽の奇跡」です。年に2回(2月22日と10月22日)の朝、神殿の奥まで太陽光が届き、3体の神像が照らされます(プタハ神像は常に暗闇にある設計)。これはラムセス2世の誕生日と即位日(とされる日)に合わせて設計されたと考えられています。

小神殿:王妃ネフェルタリと女神ハトホル

もう一つの神殿は、王妃ネフェルタリのために建てられた小神殿。こちらも岩山を削って造られたもので、ハトホル女神とネフェルタリが同一視されています。

  • 正面像:ラムセス2世とネフェルタリの像が交互に6体(高さ10m)が並び、王妃が王と同じ大きさで描かれるのは非常に珍しいことです。
  • 内部:ハトホル女神の姿をした柱が立ち並び、奥の至聖所には聖なる牝牛の姿をしたハトホルが描かれています。

アスワン・ハイダム建設と神殿の移設

1960年代、アスワン・ハイダムの建設により、アブ・シンベルは水没の危機に直面します。そこで、ユネスコ主導で神殿を65m上方へ解体・移設する大プロジェクトが行われました。数千のブロックに切断され、元の向きと構造を忠実に再現。奇跡的に「太陽の奇跡」もほぼ維持されました。

まとめ:神のように生きたファラオの遺産

アブ・シンベル神殿は、ただの神殿ではありません。そこにはラムセス2世の神格化、天文知識、建築技術、そして愛(ネフェルタリ)への想いが詰まっています。今なお壮麗なその姿は、「ファラオの威光が永遠に続く」ことを示しています。

エジプト旅行の際は、ぜひ一度この奇跡の神殿を訪れてみてください。

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